高倉健さんを観なおす

本日は高倉健さんについて

 先日、40数年ぶりにクラス会で会ったA君から葉書が届いた。クラス会の写真のお礼である。そこには
『健さんが亡くなった。先日、夕顔瀬東映で盛り上がったことを思い出しています。写真ありがとう』
と、書いてある。
 そうなんです。盛岡の場末の映画館『夕顔瀬東映』で高倉健の映画などごっちゃまぜの三本立てを何度も何度も観に行った話をして盛り上がったのだった。
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 「健さんが亡くなった」んだよなぁと思いながらの勤労感謝の日の朝。ボクは塩竃のお父さんの家で目覚めた。二日酔いの頭をかかえて河北新報を開いたら映画評論家の佐藤忠男さんの『高倉健さんを悼む 「正義」から「優しさ」へ 謙虚さ、探究心 男磨く』のコラムが目にとまった。
 佐藤さんは高倉健さんを「歌舞伎の辛抱立役(しんぼうたちやく)系の演技術を映画で完成した役者」だと述べたという。そのことを聞いた健さんに
「それはどういうことですか、もっと詳しく説明してくれないか」
と、招かれたという。
 その時に健さんが入れてくれたコーヒーを二人で飲みながら4時間も話し込んで一つの発見をした。
 それは、健さんによって確立された任侠映画のあの「もろ肌脱ぎで、日本刀を構えたイメージとは相当に違うので面食らったことだという。
 彼の演技はすごんだ形だけで見せるようでいて実はそうではない。そこには、よく工夫され人の意見も真面目に聞いて研究されて確立されたものと知ってとのこと。佐藤さんは健さんとの会話で、発見する喜びを与えてもらった貴重な機会だったと述べている。
 なお、辛抱立役とは、対立する権力者や敵の意地悪なやり方に耐え、軽はずみな動きをする若者などを抑えながら、最後には見事な決断で正義を行う、真に実力のある男の役である。と、解説している。1960年代に健さんをトップスターに押し上げた任侠映画シリーズで彼はそういう役を完成させたとコラムで言う。
 しかし、やくざの役だけでは限られた範囲のファンには熱烈に受けても国民的な俳優と言われるのは難しい。健さんはその役柄で築いた風格で、おとなしく善良な庶民の本当の男らしさを演じるという文字通りの離れ業をやってのけた。
 彼は本当に男らしい男が、実は心優しくつつましい庶民でもあり得るという、すてきな人格のありようを示してくれたのである。
 まだまだいい役を開発できたのに、亡くなられたことは本当に惜しまれるのである。
 このように佐藤さんは書いている。健さんの「正義」から「優しさ」へなのである。

 そして、昨日(25日付)の日刊スポーツ紙に大谷昭宏さんが『とめておくれよ健さん国民栄誉賞』とコラムを書いている。そこには次のようにある。
 今度の衆議院選挙では「自民党対白票」となりかねない。それでは国民からアベノミクスへの信任を得たことにならないとあせる安倍政権。
 ならば少しでも国民の関心をと、ここにきてにわかに浮上したのが先日亡くなられた高倉健さんへの国民栄誉賞。
 学生時代、場末の映画館で「健さん!」と声をあげていた身ならずとも、そのあざとさにカチンとくる人も多いのではないか。

 ボクはもちろん、カチンときますねぇ。

さらに大谷さんは言う。
『そもそも私は勲章や栄誉賞には、いい感じを持っていない。それが健さんの死後の受賞となると、とても許す気になれない。こんな選挙のさなかにミエミエの贈呈に、本人がとんでもないと辞退したくてもしようがないではないか。遺族が断ればカドが立つ。
 何より健さんは権謀術数渦巻く政界とは真逆のところで、片肌脱いで長ドス片手に立っているように思えてならないのだ。
 こんなときに引っ張り出されたんじゃ「背中(せな)のイチョウが泣いている。とめてくれるなおっかさん」。おっかさんならずとも、誰か栄誉賞をとめてくれ。健さんの背中で唐獅子牡丹がほえている』

 まったくその通りです。あざとさ丸出しの安倍政権に利用されてたまるかである。

 24日。前夜の結婚披露宴、2次会、3次会と続いて「ウーム二日酔いじゃわい」と思いながらテレビを見ていたら・・・・何ということでしょう。『NHKプロフェッショナル 仕事の流儀』で高倉健さんの特集をやっていた。
 あわてて正座して見入った。佐藤忠男さんが述べているように「風格のある、おとなしく善良な庶民の本当の男らしさ」をにじませているのである。もちろん、この番組は永久保存版でDVDにした。
 そして、健さんが大スターとなる転機の映画『網走番外地』と健さん最後の映画『あなたへ』のDVDを探した。
 確かに販売はされているがDVDはとても高価である。これじゃあダメじゃん。と、思いながら念入りにチェックしたらレンタル落ちの『網走番外地』ビデオテープが送料込みで1100円で売っていた。早速、注文。今日、届いた。それが最初の写真である。
 すぐにビデオを観ながらデータ化してDVDにする。

 『あなたへ』はちょっと高価なので買うことができないのでレンタルDVDでも借りようかなぁと思っていたら、とわちゃんのお父さんが「昨日(23日)にテレビでやっていたよ」と、言うではありませんか。
 ムムッ。早速、確認したらありましたねぇ。こちらもデッキから消える前にDVDに落とした。
 これで、とりあえず高倉健さんの永久保存版DVDが3枚になる。
 少し前のブログで健さんはあまりにも格好良すぎて「何となく納得がいかない」と書いたがこの三本の画像を見て、そして佐藤さんや大谷さんのコラムを読んで「納得できる人」だったと訂正しなくてはならない。

 ところで『網走番外地』のビデオテープ。もう観ましたのでどなたか再生デッキを持っている方に差し上げます。


本日ボクはその昔、映画館から出た時に誰もが「高倉健になっていた」状態で本日のブログは終了です。
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