『南外村のはなし』より その1

サルスベリ

 この時期になると百日紅の赤い花も盛りを過ぎているのだろう。小さな花が気の周りに落ちている。
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     百日紅送り盆には散り始め名残惜しくもまた会いましょう


酒シラベ(1)

 故伊藤士路(又四郎)さんが残した冊子『南外村のはなし』から少し記録しておきたい。まずは『酒シラベ』から。
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これは我が村では「さけしらべ」ではなく「さがしらべ」と言った。南外村の表現なので読みにくいかもしれないがそれは地元の文化と言うことでそのまま紹介します。

『酒シラベぞろぞろど松の木長根越えだど。
大変だ。あのカメさがりワイデだ。
「ジイ、ぐうぐどネレ」
ジイどご、足ハダゴ立たせてネセで、その間さ酒ガメだがせで、ヨギとジブ切れ二枚も三枚もかげた。
「ジイ、こんだンナレ,ンナレ、もっと髙ぐンナレ」
ジイはうんうんとうなっていたど。
酒シラベぞろぞろと来たど。
「何した。カゼひいだが?」
「ン?カゼだばエードも、オレのジイ、ヤグ病だど。ウジル,ヤグ病だど。オメダヂも気つけでけれ」
酒シラベもウジルヤグ病ど聞いで、どうどど引き上げたケど。

酒シラベ戻ったのをシラネー、ジイはまだンナテダけど。
「ジイ、酒シラベもどった。ンナリ止めれ」』

 と、言うわけであります。
 これでは何もわからない部分があると思うので第1回目は翻訳を少々。戦後は我が村では密造酒があちこちの家で作られていた。いわゆるドブロクである。そのドブロクは住民の密かな楽しみであり家計を助けるものでもあった。でも、密造酒と言われるくらいだから、ある日突然税務署から査察が入る。それを酒シラベ(サガシラベ)と言っていた。
『税務署のドブロク検査が何人もぞろぞろと松の木長根を越えてきた。
これは大変だ。あのドブロクを仕込んでいる瓶はちょうど良い加減に発酵して美味そうにプツプツとわいている。
一計を案じた家人たちは
「おじいさん。早くここに寝転がれ」
両膝を立たせておじいさんを寝かせて、その膝の間にドブロクの瓶をはさんだのである。そのおじいさんの上にヨギ(夜着)とジブ(農作業で着るような粗末な着物)を2~3枚厚くかけた。そしておじいさんに
「おじいさん。今度はうなって下さい。もっと高くウンウンとうなって下さい」
おじいさんはウンウンとうなっていたそうだ。
そこにドブロクを検査する人たちがぞろぞろと来たそうだ。
「どうしたんですか?風邪をひいたんですか?」
「いや、風邪ならいいんですが、うちのおじいさん疫病だそうです。伝染する疫病だそうです。検査する人たちも伝染らないように気をつけて下さい』
検査員たちは伝染する疫病と聞いて慌てて引き上げてしまったそうだ。

検査員たちが戻ったことを知らないおじいさんは、ウンウンとうなり続けていそうな。
「おじいさん。検査員たちは帰ったからうなりを止めてもいいよ」

 と、言うわけで昭和50年代までは住民たちと酒シラベとの間で虚々実々の駆け引きがおこなわれていたのであります。続編もありますのでいずれまた。それにしても伊藤士路さんは貴重な資料を残してくれたなぁと感心するとともに感謝である。



テレビは甲子園での角館対八頭の試合を中継している。7回途中で4点リードされ1-5になった。敗色濃厚だが、ここからどう頑張ってくれるか。これにて本日のブログは終了です。


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