時代は変わらず


鳥海山

 寒い朝。路面の水たまりは凍結していた。
 雄物川町に入ったら真っ白な鳥海山がくっきりと見えている。カメラを取り出して撮影した。車の中からだったので少々ボンヤリしているが「金字形」という形容詞がぴったりである。
 文章を読み直してみると「くっきり」「ぼんやり」「ぴったり」と安易な形容詞ばかりが出てきている。何と文章力のないことか・・・・。

    たおやかな鳥海山の金字形息のむ偉容復興祈り


泥沼化

 「毎日ムック 相田みつをと私、著名50人が選んだマイベストセレクション2000年3月25日発行 毎日新聞社」と言う本がある。デジタル化しようとして裁断する前に「はじめに」を読んだら次のことを書いている。

『はじめに ある日の新聞読んで驚いたことがある。一面記事の7割以上が核施設での臨界事故と学校施設内での通り魔事件、知事のセクハラ事件で埋まっていたのである。「起きてはいけない」、あるいは「起きない」とされていたことが実際に起きてしまう現代日本の姿に「世も末だ」と嘆かれた人も多いことだろう。それだけではない。高級官僚や警察官の相次ぐ不祥事、次々明るみになるカルト宗教の存在と理解不能な行動、「政治改革」を口にしながら、その実、その場しのぎ、数合わせ、予算の分捕りに奔走する国会議員たちの姿などが連日のように報道されている。身近なところでは、リストラやいじめといったことが、社会問題化している。閉塞感が漂う時代に相田みつをの作品が静かに、しかし確実に人の心をとらえている。と、続いている』

 ボクは相田みつをはそれほど好きではない。だが「はしがき」を読んで、ここに東日本大震災が入ってくれば10年前と現在とは全く変わらないなぁと強く感じる。
 反省も改善も何もない状況が手に取るようにわかる。核施設での臨界事故などが起きているにもかかわらず福島原発の事故だ。
 フクシマではなりふり構わない状態になっている。「安全宣言」「放射能汚染水海洋投棄」などなど。隣国の批判を巻き込みながら泥沼化している。

 まさに政治と東電の覚悟のなさと出鱈目さを露呈していると言わざるを得ない。最近になってボクの周囲の人たちは言う。

「あのテレビで安全という人たちが福島原発に行って作業してみろ」と。
石原慎太郎が水道水を飲んで見せたパフォーマンスよりもカッコいいと思うのだが…。


釜石から

 今回の大震災では二男の大学時代の友人M君(釜石在住)も被害にあった。幸い彼は家族ともに無事だったとのこと。しかし、家は津波にのまれた。
 先日、二男は避難している友人M君のもとに救援物資の水などを持って釜石を訪れた。

 メールで釜石の被害の状況写真を送ってくれた(3枚目は釜石市内の一部)。メールにはM君のお母さんが話したことが書かれている。

「家を見るたび津波を思い出す。高台から見た光景は忘れられない」

と、話してくれたことに「言葉が出なかった」とメールに書いてあった。

 昨日(2011.4.4付)の朝日新聞天声人語に、東日本大震災についてアウシュビッツを訪ねた開高健の「すべての言葉は枯れ葉一枚の意味も持たないかのようであった」の言葉を引用している。そして「当事者と非当事者との間にある越えがたい深淵。そこに懸ける言葉を持ちうるのか。3.11をただの悲劇や感動話や健気な物語に貶めてはいけない」と書いた作家あさのあつこさんの言葉も紹介している。
 さらに「たぶん私たちも、言葉が枯れ葉一枚の意味も持たない壊滅状態から、ともに歩みだすしかないのだ。深淵を飛び越えたつもりの饒舌は、言葉の瓦礫にすぎないとあらためて思う」と書き進める

 二男のメールに書かれているM君のお母さんの言葉を読みながら、この天声人語の内容を深く心に刻まなければいけないとボクは思っている。



夕方、ジェットが2本の飛行機雲を引きながら北から南に飛んでゆく。これにて本日のブログは終了。

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