柳亭市馬師匠を聴く


相変わらずの寒さかな

 終日マイナスの状態は変わらない。それが妙に寒いから潔くあきらめがつくかもしれない。今日は外に出ないでノンビリしていたので外の写真は写さなかった。


柳亭市馬

 第8回目の月例あきた落語会。今回の落語家は柳亭市馬。先代の人間国宝柳家小さんの弟子である。
 昨日の落語会のまくら(落語の本題に入る前の雑談ぽい話・実は巧妙に計算されているのだが・・・)では小さん師匠の思い出話が結構多く楽しかった。さらには小さん師匠の弟子だった先日亡くなった立川談志師匠の小さん師匠との仲の良さ(破門されたと思うのだが・・・)、談志の寄席欠席の思い出話。さらには知る人ぞ知るボクの大好きな川柳川柳師匠のひたすら軍歌ばかり歌うという80歳を越えた落語家の高座の話題。ボクも川柳師匠のようになりたいと思ったのである。などなど盛りだくさんで楽しめた。

 演じられた落語は三席。まずは市馬師匠の弟子の前座である柳亭市助が定番とも言える「子ほめ」をやった。北海道出身の20歳の若い落語家の精進を期待したい。
 そして、市馬師匠はまず「二番煎じ」を一席。
 その昔、江戸では町内の人たちが火の用心をするために番所に詰めた。寒い時には大変である。だから寒い日にはそれぞれの当番の人が持ち寄った酒を飲み猪鍋をつつく。
 そこに番所見回りの厳しい(と、思われる)お役人が来る。酒飲みをたしなめるのだが役人も「煎じ薬」として酒を飲む。全部の酒が飲まれてしまうとたまらないので、当番は「もうありません」と言う。するとお役人は「二番煎じを持て」というような噺である。要するに役人も酒飲みでは同罪ってことですね。

 2席目は「厩火事」。8歳年下の髪結いの亭主が朝から酒を飲んではわがまま一杯でどうしようもない。そこで仲人に相談にきた髪結いのおかみさん。
 仲人は唐土の孔子が大切にしていた白馬が火事で焼け死んだ時に慌てずに使用人の安否を気遣ったことを話して聞かせる。さらに、江戸では大切な瀬戸物を階段から落とした女将さんを旦那が女将さんの安否を気遣わずに瀬戸物だけを心配した。私と瀬戸物とどっちが大事なのと怒った女将さんが実家に帰り離縁した話もする。
 それをふまえて、仲人は髪結いの亭主が大切にしている瀬戸物をわざと割ってどんな反応を示すのか試してみることを勧めた。
 髪結いのおかみさんは早速家に帰って瀬戸物を割ったのですねぇ。そこからはたしてどんな場面が展開するのか・・・・。オチがどうなるなのかなぁと興味深く聴いていたら古典落語と同じ内容できっちりと押さえた。

 落語会で、気になったのはボクの後方に座った年輩の女性(おそらく)。落語をただ単にゲラゲラ笑うものだと勘違いしているのではないかと思うほど大声で笑う。話の瞬間に笑うのは問題ない。それがズーッと笑いの尾を引いているのだ。正直、ボクは興ざめしてしまった。
 晩年の立川談志がドキュメンタリーで落語を演じている時、お客さんがゲラゲラ笑った。その途端に彼は噺をピタッと止めた。そして、小声で「この(噺の)場面がそんなにおかしく笑う場面ですか?」と自問自答している。だが、ちょっとの間を置いてから再び話し始めた。
 落語は「笑うツボ」に個人差があるから聴く人それぞれによって笑う場面は異なるだろう。それは問題ない。だが、ボクは最近のバカテレビ番組のようにのべつまくなく手をたたいてガハハハハと笑っているのは「落語」と違うとあらためて感じた。
 確かに落語はお笑いの芸である。だがそればかりではない。と、そんなことも思いながらガハハハハ笑いに興ざめしたのである。ウーム。

 談志師匠は「落語は業の肯定である」と言う。今回の二席ともそれをつくづく感じた。お役人も人の子。町人の酒をかすめて飲む。髪結いの亭主には女将さんを愛しているように見せて実は「ケガでもされたら朝から遊んでいられない」と言わせる。妙に許せる(許せない)ことを提示する。

 とても楽しい落語会であった。受付で発売されていたプロ歌手でもある市馬師匠の最新刊『柳亭市馬の懐メロ人生50年 サイン入り』と市馬師匠「大工調べ」のCDが付録についていた『落語ファン倶楽部 柳家のすべて』を購入。
 残念ながら月例あきた寄席は三月まで都合10回で一応終了らしい。良い落語家を何人か聴けたので終了は少し残念だなぁ。

   落語とは「業の肯定」談志言う少しの妥協?生きているとは



我が家のとわちゃん。舌が大きいようだ。生まれた時からいつも口から舌を出していた。心配でドクターに聞いたらしい。そしたら「そのうち納まりますよ」と言われたとか。最近、舌を口から少し出してビビビビっと奮わせるながらツバをまき散らすことにはまっている。汚いと言えばなおさらエスカレートする。ウーム。ま、いいでしょう。
と、言うわけで本日のブログはこれにて終了です。

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