敵は自分にあり


KOKOYAKYU HIGH SCHOOL BASEBALL
 「ベースボール」がアメリカ発祥ならば「野球」は日本独特のものかもしれない。その中でも特に「高校野球」は特別かもしれない。そんな「高校野球」のドキュメンタリー映画を見た。
 高校野球をアメリカに紹介したものである。プロデューサーはアメリカ人。映画の中の会話はすべて日本語(関西弁中心)だが画面下に全編英語の字幕が出る。映画のイントロで出てくる英語のスーパー(日本語に訳していない)をボク流に翻訳してみると次のようになるのかも。
「1915年から甲子園では高校野球選手権大会がおこなわれている。49都道府県から1校が出場できる。全ての試合は1回負けると夢は終わる。」

 この映画には甲子園の常連校であり優勝経験もある智弁和歌山と普通の公立高校の大阪府立天王寺を取り上げている。両校が高校野球に取り組んでいる日常から大会までを指導者、部員、応援団、教師にインタビューをまじえてダイジェストしている。見ていると両校の違いが明確になってくる。
 それぞれの高校の野球への取り組み方や想いを「心」「根性」「青春」「夢」「努力」「大会」と分けて映画は進む。

 天王寺高校のマサ監督(全部英語なので漢字がわからない)は高校生の頃に甲子園出場経験はない。彼は「公立が私立をやぶって甲子園に出られることは言い表せないくらいの喜びがあると思う。目標はどんなことがあっても甲子園に出場すること」と語っている。
 さらに「高校野球は教育の一環であり勉強と野球の両立をめざす。甲子園は可能性があるからこそ夢がある。高校野球は人生そのものである。だから早朝練習などの工夫をしている」。部員数が3年5名、2年8名、1年21名、女子マネ3名である。この部員数を見るだけで学年が上がるに従って部員が減っていることを感じさせる。文武両道の厳しさが伝わってくる。

 智弁和歌山高校のタカシマ監督は甲子園出場経験がある。二人の甲子園への想いは微妙に違うタカシマ監督は「甲子園で子どもたちが入場行進をしているのを見ると足が震えるほどの感動を覚える。甲子園で勝つために練習している」と話す。
 そして「県大会6試合と甲子園6試合の合計12試合を戦う体力が最も大切である。技術は二の次だ。生徒には体力とハートと根性を大切にするようにしている。他の学校と同じ内容の練習はしない。他の学校の3~4倍は練習する。野球は人生そのもの」。

 立場の違う二人の監督が高校野球を「人生そのもの」と話している。これはすごいことだ。
  
 ボクが高校野球の顧問をしている時にも最も悩ましい次の場面が印象的だった。
 それは天王寺高校で大会前に選手たちに背番号を渡す場面だ。ベンチ入りできるかどうかが決まるのだ。1番から順に渡してゆく。大阪はベンチ入り18人(秋田県は20人)。17番が配布されいよいよ残りは一人。18番である。背番号をもらえない3年生部員が一人残っている。彼の不安そうな顔がクローズアップされる。そして発表。彼の名前が呼ばれた。ホッとした表情が印象的。
 全員に背番号を渡したあとにマサ監督が18番を起立させて話した。
「背番号18は君が一人で背負っているのではない。一年生部員でもベンチ入りできるレベルの選手がいた。その部員たちの分も君は背負っている。」
その話の途中で彼の目からは涙があふれ出した。
「君は入学の頃に野球技術は低かったかもしれない。しかし、3年間の努力は素晴らしかった。何よりも君は初めの頃には自分のことしか話さなかった。それが次第にチームのために何ができるかを言えるように変わってきた。だから、この選手なら18番を渡そうと思い顧問全員で相談して君に決定した。素晴らしい涙だ。他の学校の18番よりも1番輝いている18番になってほしい。大会でがんばってほしい。」
 この話を聞きながらボクも涙がこぼれてきた。「また泣くんですか」と誰かにつっこまれそうだが・・。良い場面だった。そしてマサ監督は続ける。
「高校野球はスポーツだけれども、私は武道に近いと思っている。武道は相手の弱いところを攻めない。それよりも自分の持てる力をいかに発揮するかを、まず念頭においている。敵は相手ではない。敵は自分である。自分たちの力を信じて良いものを発揮することで自ずと結果はついてくる。チーム一つになって思いきり天王寺野球をしよう。」

 そして、和歌山と大阪地区大会を紹介してゆく。この年、智弁和歌山は地区大会敗退。天王寺も3回戦で敗退。指導者は反省と課題を見つけ新たなチームづくりに向かう。

 どうしても天王寺の野球に思い入れが強い。そして映画を見て自分は選手ではなくとも「甲子園に出るんだ」と必死に夢を追いかけていたと思い涙がにじんだ。ヤバイ。


 ホタル観察。だいたい30匹くらい確認。大群とは言えない。少ないのかなぁと思いながら帰ってきた。
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