良い敗者とは


午前4時
 自宅の布団の中で目を覚ます。近くの林でヒグラシが一斉に鳴き始める。おいおいこれではヒグラシではなくメザマシだべと毒づきながら、もう一度目をつむる。自宅の前に黄色の花が色づいている。例によって名前は知らない。雷雨のあとに写真を一枚。


出会えた人々
 高校野球の運営の手伝いに行っていろいろな方にお会いできた。この大会終了後、心機一転(アレッこの言葉を何処かで聞いたぞ)再度野球に携わるというN君に会えた。
 それは良かったなぁ。彼は一生懸命に野球部を盛り上げるために努力していた。ある事情があって一時野球を離れた。それが復帰できることになったと聞いた。とても良い指導者だと思っている。素敵な笑顔だった。ぜひともがんばってくれ。遠くで応援しているぞ。
 卒業生諸君にも何人かに会えた。皆、妙な複雑な顔をしているのだが元気そうだった。こんなボクに声をかけてくれただけで、ありがたかったし嬉しかった。激励したつもりが逆に激励された。これが教師をやっていたご褒美かも。
 そして八橋担当の中央地区野球部部長の先生たちにもお世話になった。真摯に野球に取り組んでいる姿が印象深かった。
 再会の人たちも初めての出会いの人たちも会えて良かった。吉田拓郎の歌に「出逢わなくて良かった人などいないと思ってくれ」のフレーズがある。感謝感謝だ。
 もちろん誰とは言わないが出逢わなければ良かった人もいるけれど・・・。


自分なりに大会を振り返って
 楽天の野村克也監督が「野球に不思議の負け無し、不思議の勝ちあり」と言っている。負けた原因は必ずあるが勝った原因はわからないことが多いと言うことだ。なるほど。
 魁新聞の『大会を振り返って』には次のように書いている。
「明桜は第1シードらしい安定した強さで準決勝まで順当に勝ち上がった。今大会の本命と見られていたが、準決勝で本荘に惜敗。総合力では頭一つ抜けていたが、必ずしも実力のあるチームが勝てるわけではない「夏」の怖さが感じられた。」
 このように夏の大会はなぜか「不思議の勝ち」が多い傾向があるのではないか。魔物が住んでいるというか神様が見ているというか・・・・。その呪縛から解き放たれるために指導者たちは懸命になって心技体を鍛え選手たちの実力を充分に発揮できるように苦心している。
 今大会は多くの人が「不思議な大会だなぁ」と感想をもらす。いわゆる「候補」「シード校」が続々消えていったことを指している。
 ボクは「候補」「シード校」が消えていった原因はエース投手の不在だったと考えたい。一つの試合はしっかりとゲームを作って勝利に導く。しかし、次の試合はボロボロになってしまう。あるいは7回くらいまでは好投しながらも疲労で交替し、交替した投手が打ち込まれて敗戦したケースも多く見られた。こんなチームが多い中で、何枚かエースがいても使い間違った例もあるようだ。いずれ投手起用は難しいってことだが・・・。
 だからこそ5試合全部を一人で完投した本荘のエース池田君の活躍が素晴らしかったことにもなるのだが。

 53チームが参加した大会だから本荘以外の52チームは負けた。負けて良いわけではないのだが、敗者は良い敗者でなければならないとボクは思う。
 相手チームとの力の差が歴然としていても果敢に挑んで負ける。ぼろ負けでも良いではないか。あるいは互角の勝負を繰り広げて結果的に敗退。素晴らしいぞ。
 朝日新聞7月20日『成長に贈るエール~最後のミーティング 監督から選手へ~』の記事がとても良い。タイトルだけでもミーティングの様子が見えてくる。
 十和田村田監督「負けても下を見るな」。大館国際情報押切監督「周囲の支え忘れるな志へ日々の努力を」。合川桜田監督「糧にして人生頑張れ」。西仙北鈴木監督「最後までよく粘った」。湯沢高橋監督「挑戦、乗り越えた経験、社会で通用」。
 一人一人の指導者が生徒諸君に対して毎日の練習を見て話した言葉だ。おそらく涙・涙で監督の話を聞いているのだろう。その涙はある意味精神の浄化作用をしてくれて新しい道に旅だって行く翼になる。これが「良い敗者」だ。「良い歯医者」じゃないよ。
 残念ながら苦く・悲しく・ざらざらとした言いようのない不気味さを漂わせる悔いの残る涙もあったかもしれない。そんな涙が流れたとしたら「良い敗者」にはなれない。気の毒なことだと思う。

 さぁ、高校球児諸君。大きなイベントは終わった。君たちの新たな旅立ちだ。
 
 知らず知らずのうちにボクの足はフラリと全力チームのグラウンドに向かう。そして、どんよりと蒸し暑い雨雲の下で走り回る野球小僧たちの姿を追っていた。
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